免疫について

「がん」と戦う「免疫」とは?

成人の体内では、毎日約5,000個もの「がん」の元となる細胞が生み出されているといわれています。しかし、それらすべてが「がん」となるわけではありません。一生、がんを発症しないケースもあります。がんになる人・ならない人、この違いはいったいどこから生まれるのでしょうか。遺伝や体質もありますが、大きなカギを握るのが「免疫力」です。

免疫細胞は血液中に存在します

身体の中へ侵入した悪者(がん細胞など)と戦うのが、人間が本来持っている「免疫力」。免疫システムとも呼ばれ、複雑で重要な働きをします。免疫細胞は血液中に存在し、その能力を十分に発揮できれば、がんなどの異常細胞が体内に生まれても、消滅させたりその進行を抑えたりすることができます。

血液中の成分とその役割



肺から得た酸素を体の隅々の細胞に運ぶ




ケガや感染時に、身体へ侵入した細菌と戦い「膿」となる



Tリンパ球
(T細胞)
αβ(アルファベータ)
T細胞
リンパ球の約7割を占める免疫系の要。Bリンパ球の抗体産生の調節などを行う
γδ(ガンマデルタ)
T細胞
がん細胞などを狙って攻撃する
Bリンパ球
(B細胞)
抗体を作る
NK(ナチュラルキラー)
細胞
すべての異常細胞(がん)を攻撃する
NK(ナチュラルキラー)
T細胞
がん細胞などを狙って攻撃する
単球 (マクロファージ) 異物を消化する(抗原を教える存在)
樹状細胞 NK細胞によって破壊された異常細胞を食べ、そこから得た情報を他の細胞(T細胞)へ知らせる→抗原提示


ケガの際に血管の破れを塞いで出血を止める
がん細胞と免疫細胞の戦いとは……

免疫系の中でも、はじめにがんを攻撃するのが、あらゆる異常細胞に戦いを挑むNK(ナチュラルキラー)細胞です。そして、NK細胞が破壊した異常細胞(がん)を樹状細胞が食べてT細胞に情報を伝えることで更に免疫反応が拡大し、強い免疫応答が誘導されます。このように血液中に含まれるさまざまな細胞が、複雑な連携をきちんと行うことで、がんの発症や進行を抑制しているのです。

しかし、がんを見つけ攻撃するNK細胞の数や活動は、生活習慣や加齢などによって少なくなったり弱くなったりしてしまいます。すると、他の細胞への情報の伝達や活動の活性化を促せなくなり、免疫力の低下が起こります。そうしている間に、がんが免疫システムに対する防御力をつけたり、細胞分裂を加速したりして、増殖することで「がん」を発症してしまうのです。

免疫力を高めるために有効な方法は……?

免疫力の低下は、いくつかの生活習慣が原因となっていることが判明しています。そこから、免疫力を高める方法・対策が考えられます。

  免疫力低下の原因 考えられる対策

20代を過ぎると免疫力の低下が始まり、その人の免疫力のピーク時から考えると、40代で約半分、70代では9割も免疫力が低下するといわれています。 加齢は防ぎようがないことですが、以下の生活習慣を心がけることは、健やかでがんになりにくい身体づくりに役立ちます。



強いストレスによって、がん細胞を攻撃する免疫細胞の活動が低下することが科学的な調査で証明されています。 リラックスでき笑顔の絶えない生活を送りましょう。笑うことが免疫力を高めるという調査結果もあります。

喫煙によって免疫力が低下するだけでなく、がんになりやすいことはよく知られています。 免疫力を高め、がんにならないためにも禁煙が重要です。



体力や全身の機能が低下します 適度な運動で体力をつけ、身体の機能を適度に活性化させましょう。





夜更かしや夜型生活、偏った食生活を続けることで、免疫細胞の数が減ったり弱くなったりします。また、腸内環境の悪化が、免疫力の低下につながることも指摘されています。 十分な睡眠時間が得られる「早寝早起き」を心がけ、栄養バランスのよい食生活を。発酵食品や乳酸菌など腸内環境を整えるとされる食品も積極的に摂りましょう。



加工食品・嗜好品(タバコなど)に含まれる化学物質が過度に身体に入り込むと、悪影響をおよぼします。 タバコをはじめとする、身体に悪影響をおよぼすことが疑われている化学物質ができるだけ身体に入らないよう気をつけましょう。


体温が1℃下がると、免疫力は40%低下するといわれています。 冷房にあたり過ぎない、冷たい飲食物を摂り過ぎないことで、身体を冷やし過ぎないよう注意しましょう。
一般的ながん治療と「免疫療法」の違い

がんは発見された時点で、すでに免疫力よりも強い力を持っていることがほとんどです。つまり、がんの増殖する力と免疫力のバランスが健康なときと逆転しているために、がんが進行しているのです。

一般にがん治療には、外科手術や抗がん剤治療、放射線治療などがあります。これらの治療法は他の健康な細胞や組織へ大きなダメージを与えてしまうことが多々あります。反対に、患者さん自らの免疫力を向上させることで、がんを克服しようという治療法が、当センターが行っている「免疫療法」なのです。

自分の血液から免疫力を強化する免疫療法については、こちらでご説明しています。 がん免疫療法